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他社の事例に学べ!深堀り、成功EC事例インタビュー

≪黒字化へのシナリオを持つことが通販事業の成功への鍵≫

■現在「通販コンサルタント」という肩書きでお仕事をなさっておりますが、渡部さんが通販コンサルタントを実践するようになったきっかけを教えていただけますか?


 元々私は大手の通販会社に約30年在籍し、そこで日本の通販の歴史、特にカタログ通販ビジネスを一通り見てきました。その会社では通販に関する様々な業務に携わってきましたが、会社を辞める最後の数年はテレビ通販事業の立ち上げに携わり、そこでの刺激が独立へと導かせたと言えるかもしれませんね。



有限会社 team-Aコーポレーション
代表取締役 渡部 茂夫 氏

 それまでは大阪を拠点としていましたが、テレビ通販を始めてからは、舞台が東京に移り、東京の情報量とスピード感がとても心地よく、東京で独立してしまいました。 


■そして現在、通販コンサルタントとしてご活躍されているわけですが、今まで携わった案件で代表的な成功事例はございますか?


 約6年ほど前の某携帯関連事業会社の例をお話しすると、この会社はモバイルでの通販事業を行っていましたが、時代が早かったせいもありますが、まだ売上・収益ともに作れていなかった。そこで現状を打破すべくご相談を頂き、コンサルティング契約を行いました。

 まず売上を伸ばす施策として、他メディアとのクロス展開。このときはテレビとケータイの連動を取りました。テレビで通販番組を放映し、その受け口としてモバイルを活用するというもの。そこでテレビ通販事業を行っている会社をパートナー企業として探し、あるテレビ通販事業会社が資本参加を受けてくれるということで、この会社が出資を行い、私はここの経営に携わるようになりました。

 真っ先に私が取り組んだのが、コストの見直しです。当時、この会社は年間20億円程度の売上がありましたが、テレビの放送枠の買い付けに約8億円ほどかけ、その他諸々赤字状態。まずは、この放送料を安くしてもらうよう代理店にアタマを下げて、安くしてもらいました。完全に"お願いごと"ですね(笑)。その他、コールセンターや出荷代行など、損益計算書に記載されるコストの部分を徹底的に削減するため、協力会社一社一社にアタマを下げに行って、交渉を行いました。その結果、約3ヶ月で単月で黒字化を達成しました。

 マーチャンダイズの部分では、単品個々の損益を見て、原価率を下げられる交渉も行いました。売れなくてかつ原価率の下げられないような商品であれば、販売を止めましょう、といったことも。その結果、扱っていた商品の3分の1はすぐに取り扱いを止めたので、一時的に売上は減りましたが、その分、利益は逆に増えましたね。

 つまり売上を上げるということはシンプルで分かりやすいのですが、当時のこの会社は「収益をマネージメントしていく」という意識が薄かった訳で、その部分での改革を行ったということですね。


■なるほど。当然といえば当然ですが、売上と収益はまったく別物。売上ばかりに目がいきがちですが、渡部さんは、まず収益の部分で改革を行っていったわけですね。


 前職の会社でも、右肩上がりの頃は収益よりも「とにかく売上の数字を」という感じでしたが、近年は逆に利益率を重視していたので、その経験が役に立ちましたね。そういうことをまずやった上で、次にどう成長させるかが重要だと思います。

 そもそも売上を作ることと収益を作ることはまったく別ものだと思います。売上はお客さんの評価の結果ですが、収益は経営力やマネージメント力であり、収益を出すには相応の知恵が必要となってきます。

 要は黒字化になるためのシナリオを持つことが重要なんです。例えば、いまは赤字でもいいが、いつ黒字化し、それに向かって何をどうすればいいかを、仮説と検証を行いながら組み立てる。ただ、仮説は外れることもあるので、その際には、都度修正すればいい。通販事業は様々なテストの連続による事業です。結局、ここの会社では20億円だった売上を、50億円まで増やし、経営からは外れました。


■上記は既存のビジネスのてこ入れでしたが、「一から立ち上げてほしい」といった案件はございましたか?


 ありましたね。これはある中堅の水産商社さんの案件で、その会社ではロシアから船ごと蟹を輸入して加工販売を行っておりました。そこからの相談は、「どうやら通販で蟹が売れているようだが、これをネットで販売したい」というものでした。

 北海道のグルメ商品はいまも通販においては人気商品ではありますが、如何せん、競合も多い。ただ単にサイトを立ち上げて「蟹を売ってます」では売れないと思いましたので、私が考えた方法は、オリジナルの商品かつ単品で仕掛けよう、と。

 具体的には、蟹をメインの具材とした子供向けの有名なキャラクターおせち料理でした。それを新聞通販で告知を行い、サイトへ誘導してそこで購入させるという方法でした。

 つまり、ここでのポイントは、「品数を絞る」「掴みのあるオリジナル商品」「新聞のようなプッシュ型メディアに露出する」といった3つですね。とかく、サイトを立ち上げたからには、あれもこれもと売りたくなりますが、限られたリソースで最大の収益を上げるには、品数を絞ることが重要です。そして、この場合、「子供向け有名キャラクターおせち料理」という珍しさも手伝って、取材が殺到しました。商品力があれば、それだけ露出する機会も増えてきます。

 とはいえ、今述べたことも「まったく通販のノウハウやそれにかけるリソースもない水産会社」という前提でのやり方であって、この前提条件が変われば、やり方も変わってきます。このときは新聞を使いましたが、メディアによっては仕掛け方はもちろん、仕入れ原価も変わってきます。こうしたところが、我々、通販コンサルティングのノウハウでもあるわけです。


■おそらく概念的なお話になってしまうかもしれませんが、通販事業がうまくいっていない会社さんに対するアドバイスはございますか?


 目の付け所を変えることは必要ではないでしょうか。皆さん、セミナーに出られるとか本屋でいろいろな本を読んで研究されていると思うのですが、それは誰しもがやっていることなので、その部分での差は付かないと思います。例えばカタログ通販をされている方でも、テレビ通販の番組を観ることで、カタログ通販に活かせるヒントが隠されているかもしれないので、そういった視点を持つことが重要だと思います。

 また通販はあくまでも商品ありきのものですので、その商品を売るのに適正なメディアがあります。ある商品はテレビ向けかもしれないが、ある商品はモバイルかもしれない。「メディア」と「商品」とそれを購入する「顧客」を、"仮説"と"検証"を繰り返しながら組み合わせることで、その商品に適した売り方が見えてくると思います。おそらくそこをきちっと実施するだけで一定の売上は確保できますが、「うまくいっていない」という会社さんのほとんどは、そこすら行っていないのではないでしょうか。


■最後にこのインタビューを読んでくださった方々にメッセージをお願いいたします。


 これは日本のビジネス文化かもしれませんが、外部のコンサルタントをもう少し上手く活用すべきではないでしょうか。イメージとして、リスクも取らず、お金だけ持っていくといった考え方をされる方もされておりますが、コンサルを使う利点としては、時間とノウハウをリーズナブルなコストで調達することが可能です。

 もし、自分がやったほうが成功する確率が高いと思うのであれば、ご自分でやってみるのも一つの手ですが、そうでないならば、我々のようなコンサルタントに一度ご相談されてはいかがでしょうか。


■お忙しいなか、ありがとうございました。

渡部 茂夫氏プロフィール ~通販専門家・コンサルドットコム~
http://www.tsuhan-pro.com/profile/team-a.php

掲載日: 2009年1月15日