他社の事例に学べ!深堀り、成功EC事例インタビュー
書籍EC大手セブン&ワイが語る、ECサイトの差別化戦略

同社運営サイト:セブンアンドワイ
■業界初の商品のコンビニ受取りサービス
1999年、現在代表取締役を務める鈴木康弘氏がソフトバンクに在職中に、新規事業の取り組みとして立ち上げたのが、セブンアンドワイの前身であるイー・ショッピング・ブックス株式会社。
当時、公共料金の支払いがコンビニで出来たことから、ネットショッピングの料金もコンビニ支払いが出来るのではと考え、セブン-イレブンに話を持ちかけ、日本で初めてのコンビニエンスストアで支払って受け取れるECサイトが誕生し、世間を騒がせた。
サービスの特徴は、サイトで注文をした商品を全国のセブン-イレブンで受け取ることが出来、料金も商品受け渡し時に支払うことでリアルの商品購入に近い形で商品の購入ができること。
ユーザーは送料手数料無料で、24時間いつでも指定のセブン-イレブンで商品を受け取ることが出来る。
現在、ネットでの商品購入やクレジット番号の入力にためらいのあるユーザーや、日中在宅することが出来ない方やOLを中心に600万人(2009年4月現在)の会員が利用する。
■差別化の難しい書籍販売で、豊富なオリジナルコンテンツを用いて差別化を図る。
書籍やDVDは同一商品を他のECサイトでも扱っているため、その差別化が難しく、如何に自社のサイトで購入をさせるかが課題となる。
そこに関して同社は豊富な品揃えと平行して特集など様々なオリジナルのコンテンツを用意し、ユーザーが知らない書籍を勧めることで着実に売上を上げている。
例えば、作家のインタビューのコーナーがある。
作家一人ひとりにインタビューを行い、作り手の想いを伝えるコンテンツとなっている。同時にインタビュー記事下に作家の著書を掲載することで、ユーザーは今まで知らなかった本を発見することが出来、購入に促すことに成功している。
このようなインタビューのコンテンツを週に1本ほどのペースで更新している。
また、季節ごとのテーマや作家ごとのテーマ、内容別テーマのコーナーを設け、それに合わせた書籍の紹介を行っている。
■同社サイトに掲載されている特集ページ
また、現在最も閲覧数が高いのは、このジブリの特集ページ。
2004年10月より開始したこのコンテンツは、スタジオジブリ協力の元、構成がなされている。
最近のものであれば、声優や主題歌などの情報はもちろん、同社代表の鈴木氏がプロデューサーに直接インタビューを行ない、その模様が掲載されるなど相当にこだわりをみせている。
また同様の特集は、ディズニーでも展開を行なっている。
ロングテール現象に象徴されるように、リアル店舗とネット販売の最も大きな差は、その在庫量にある。一般の本屋でれば店舗面積に応じた分の書籍しか設置することが出来ず、顧客が思わず手に取るような目立つ位置になればそれこそ限られたスペースとなる。一方WEBであれば無限に掲載を行うことが出来るので、顧客が知らないような書籍を薦めて購入させることが強みになる。
その部分において、同社のWEBサイトは非常に優れたコンテンツをいくつも抱えている。
■自分の興味でカスタマイズができる「マイページ」
同社の特徴的なサービスの一つに、このマイページのサービスがある。
同サービスは、ユーザーが作家やアーティストやテーマを登録しておくと、関連の商品が出た際にページ上で知らせてくれる。また「お気に入り」として登録した商品を一覧できるなど、個人の興味に合わせたオリジナルのページを作ることができる。
CDやDVDに比較して、書籍はいつ出るかが消費者にはなかなかわからないので、ユーザーメリットが高く、利用者も多いという。
また、漫画などの巻モノで続いて出る商品を待っているユーザーや、初回限定版を入手するために利用するユーザーが、このサービスを利用している。
■年間100万人近くの会員が新規登録する同社の新規顧客獲得方法
新規顧客の誘導経路に関しては、資本提携のあるヤフーとの連携がメインとなる経路の一つだ。
2002年よりYahoo!ブックスへのコンテンツサービスを開始しており、その後Yahoo! JAPAN IDでの利用が可能になるなど連携を強めている。
それ以外にもSEOやリスティング広告など様々な形で新規の獲得を行っている。
また、最近は紙の広告も見直されているという。
「韓国のドラマをやっているBS局でCMを入れるなどの広告を行なっており、ターゲットとコンテンツが合う広告であれば、非常に効果が高いですね。
感覚値ではありますが、以前よりもPCやモバイルが身近になっているので、紙からPC・モバイルへの誘導率も上がっていることもあり、紙メディアが再度見直されていく可能性は強いと考えています。
消費者にメリットのある情報、役に立つ情報がどれだけ紙の中にあるかがシビアに求められる状況は変わりませんが、グループ企業がリアルに非常に強いことも有り、今後も力を入れていきたいですね。」と話す磯前氏。
通常のECであれば、「ここにしかない商品」や「ここでしか買えない商品」が、顧客からのロイヤリティを高めるために必要ではあるが、送料無料やセブン-イレブンでの24時間の受け渡しなど、自社の優位性を謳うことでもうまく自社サイトに誘導を行い、売上げにつなげている。
■成長の早いモバイルサービス。特にコンビニ受け渡しを希望する若年層の利用が高い
同社では、2003年にモバイルサービスを開始しており、PCの伸び以上の速さでモバイルの売上げが伸びている。
一般的にキャリアの課金が多くを占めるモバイルサイトであるが、同社の場合は、現在キャリア課金に対応しているauであっても、セブン-イレブンでの受け取りを希望するユーザーが多いという。
若い世代のユーザーが多く、クレジットカードの利用を好まない層が多いことも背景にあるが、やはりお金と一緒にものを交換できる安心感が最大の理由であるとのことだ。
売れ筋の商品としては、コミックス系や小説系などが多く、また、主婦が利用することも多いので、韓国ドラマDVDなども売れるという。
■今後の展開
ここまで規模を拡大してきた同社であるが、まだまだ書籍でカバーしきれていない分野があるので、まずはそこを拡大していくことに力をいれていくという。
また、商材に関しても、04年2月に雑誌、12月にCD・DVDを追加したが、さらに広げていく意向はあるという。商材分野の拡大に関しては、市場やグループ企業の商材、販売戦略ありきの商材拡大ではなく、顧客からのニーズありきで開拓を行うという。
そのような顧客のニーズから様々なサービスを生み出してきた同社。その姿勢は今後も変わらず、ユーザーの利便性の追及のため、当日到着サービスや、モバイルサイトのサービス拡充など、この先も改善を行っていく。
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